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満月の日は月のことを調べたくなる?

多い

閲覧数は関心の代理指標です。このトピックは珍しく「増える」が予想される検証で、月が動かせるもの・動かせないものの境界線がよく見えます。

記事「満月」の閲覧

平常(同じ曜日・同じ月の平均 = 100)
100.0
満月の日 (±24時間)
331.2
新月の日 (±24時間)
72.1
満月の日の判定
多い

記事「月食」の閲覧

平常(同じ曜日・同じ月の平均 = 100)
100.0
満月の日 (±24時間)
263.6
新月の日 (±24時間)
108.8
満月の日の判定
多い

記事「不眠症」の閲覧

平常(同じ曜日・同じ月の平均 = 100)
100.0
満月の日 (±24時間)
99.3
新月の日 (±24時間)
100.7
満月の日の判定
差は見られない

記事「狼男」の閲覧

平常(同じ曜日・同じ月の平均 = 100)
100.0
満月の日 (±24時間)
117.6
新月の日 (±24時間)
97.1
満月の日の判定
多い

対象データ: 2015年〜2025年・Wikimedia Pageviews API(bot除外済み)・3,837 日分

第2幕: 月齢よりも強く月を調べさせるもの

本当に数字を動かしているのは——

×39

「満月」記事が最も読まれた日(2015年10月26日)の閲覧は平常の約39倍。閲覧が跳ねた上位1%の日は平均の約10.7倍で、その多くはスーパームーンや月食の報道日です。月を見たから調べるのと同じくらい、ニュースで読んだから調べるのです。

そしてもうひとつの真犯人は暦です。英語版で満月の日に浮上する記事の常連は、ウェーサーカ祭・過越・グル・プールニマー——いずれも満月に固定された宗教行事。太陰暦は何千年も前から、人の予定を満月に同期させてきました。

月は地震も事故も動かしませんが、人の好奇心と暦は確かに動かしています。

このトピックの出自: 満月の日に読まれる記事を「逆引き」した

このトピックは他と少し作り方が違います。仮説を先に決めず、「満月の日に閲覧が跳ねる記事はどれか」をWikipediaの閲覧ランキングから逆引きしました。直近24ヶ月の「その日最も読まれた記事トップ1000」(日英)を全日分集め、満月の日(±24時間)に偏って浮上する記事を機械的に探したのです。

すると、本物のシグナルがはっきり浮かびました。英語版で満月の日への偏りが最大級だったのは「Supermoon」(出現5回中4回が満月日)、「Blue moon」「Lunar eclipse」(月食は定義上必ず満月に起きます)。日本語版では「ストロベリームーン」。そして意外な常連が、ウェーサーカ祭・過越(ペサハ)・グル・プールニマー・中秋節——満月に固定された宗教行事・年中行事でした。月は人間の予定表を、太陰暦という形で何千年も動かし続けていたのです。

ワナの実物: 「ちゃんみな」は満月の女王ではない

ここからがこのページの本題です。同じスキャンで、日本語版の「常連記事の満月日閲覧比」1位はアーティストのちゃんみな(×1.94)でした。英語版ではZendaya(×1.42)2026 FIFAワールドカップ(×1.85)。「満月の日、日本人はちゃんみなを約2倍検索する」——もっともらしいグラフも描けます。

もちろん、これは偶然です。ライブやドラマ出演などのニュースが、調査期間中たまたま満月と数回重なっただけ。数十万の記事を一斉にスキャンすれば、サイコロを数十万回振るのと同じで、「満月と相関する記事」は確率だけで必ず大量に出ます(統計学でいう多重比較の問題)。月と人間をめぐる言説には、この種の「探せば見つかる相関」が実際に紛れ込んでいます。本サイトが普段検証している俗説のいくつかも、おそらくこうして生まれました。

だからこのページの判定は、スキャン結果をそのまま使っていません。

  • スキャン(2年分)は候補発見にだけ使い、判定は別データ——2015年7月からの約10年・全日次閲覧数——で取り直しました。2年でたまたま相関したものは、10年では消えます
  • 記事の組は取り直しの前に固定しました(月系:「満月」「月食」/対照:「不眠症」「狼男」)。対照は役割が違います。「満月で眠れない」が体感として広く実在するなら「不眠症」が増えるはず(→増えませんでした)。一方「狼男」は伝説への好奇心を測る対照で、こちらは満月の日に2割増えました。月が動かすのは睡眠ではなく、想像力のようです
  • 閲覧数はbotを除外し、「同じ曜日×同じ月の平均=100」とする指数で曜日・季節の交絡を除いています(恋愛検索トピックと同方式)

この判定はどう計算しているか

  • データはWikimedia Pageviews API(公式・bot除外)の日次閲覧数、2015年7月〜前年末
  • 各記事について「同じ曜日×同じ月」の平均閲覧数を期待値とし、実測÷期待の指数で比較します
  • 日本時間/米国東部時間の正午時点の月齢で「満月の日(瞬間±24時間)」「新月の日」を判定し、各グループの指数平均を平常(100)と比較します

詳しい判定基準は方法論をご覧ください。

データ出典

  • Wikimedia Pageviews API(CC0)/逆引きスキャンは同APIのtopエンドポイント(2024年6月〜2026年5月)
  • 月齢・朔望の瞬間は Jean Meeus "Astronomical Algorithms" のアルゴリズムによる自前計算(UTC基準)

最終更新: 2026年6月12日 16:56 (UTC)(毎日自動更新)